1.4 コラーゲン:結合組織の主役

1.4.1 コラーゲンの構造

コラーゲン(分子量:約285,000 Da)は3本のポリペプチド鎖が左巻き螺旋(トリプルヘリックス)を形成したフィブリル状の超分子構造を持つ。

コラーゲンを形成する特殊なアミノ酸:
- グリシン(Gly):3残基おきに登場する最小のアミノ酸(螺旋形成に必須)
- プロリン(Pro):螺旋に剛性を与える
- ヒドロキシプロリン(Hyp):コラーゲン固有のアミノ酸、水素結合で螺旋を安定化
- ヒドロキシリシン(Hyl):架橋形成に関与

コラーゲン含量と部位の関係:運動量の多い部位(スネ・テール・ブリスケット)はコラーゲン含量が高く、生の状態では硬い。しかし長時間の加熱(80〜90℃、数時間)でコラーゲンが加水分解されてゼラチンに変換され、トロトロの食感(「ゼラチン質の旨味」)が生まれる。

1.4.2 コラーゲンの熱変性温度

コラーゲンの変性(トリプルヘリックスの崩壊)は約65〜70℃で開始し、80〜90℃以上で急速にゼラチン化が進む。この特性が「煮込み料理」の科学的基盤となる。