第6章:安全と衛生

6.1 包丁の安全な扱い

切傷防止の基本原則

ルール 詳細
猫の手(クロウグリップ) 指を丸めて第一関節を盾にする。刃は関節に当たって止まり、指先まで届かない
包丁は常に見る 何かを話しながら、別のことを見ながらの作業禁止
刃を体に向けない 刃先は常に前方、作業台方向のみ
落下時は拾わない 落としたら絶対に掴もうとせず、足を引いて避ける
渡す時は刃を包む 別の人へ渡す際は刃面を布で覆うか、まな板に置いて受け取らせる
包丁ケースに収納 使用後は必ずケースや刃当てに収納(引き出しの中での刃むき出し禁止)

6.2 まな板の衛生管理

まな板素材の比較

素材 除菌のしやすさ 包丁への負担 耐久性 推奨用途
白色プラスチック(PE) 高い(漂白可) 低い 高い 業務用標準
木製(檜・朴) やや困難(吸水) 非常に低い 中程度 高級店・和食
ゴム製 高い 低い 高い 業務用
強化ガラス 最高 高い(刃が欠ける) 非常に高い 不向き

洗浄・除菌プロトコル

【使用後即時】
1. 水洗い:食材の残渣を水で流す
2. 洗剤洗浄:食器用洗剤でスポンジ洗い
3. 流水すすぎ:洗剤を完全除去

【日次(営業終了後)】
4. 熱湯消毒:80°C以上の熱湯を全面にかける(大腸菌死滅温度75°C以上で1分間)
5. または次亜塩素酸ナトリウム溶液(200ppm)に10分浸漬

【週次】
6. 塩素系漂白剤(500ppm)に浸漬または塗布→30分→洗浄

6.3 交差汚染(Cross-Contamination)防止:カラーコーディング

食中毒の最大のリスクの一つが交差汚染(異なる食材間での細菌移動)。特に生肉と他の食品(野菜・加熱済み食品)の接触は深刻なリスクを生む。

カラーコーディングシステム(国際標準HACCP準拠)

用途
生の牛肉・赤身肉
生の鶏肉・豚肉
魚介類
野菜・果物
加熱済み食品・乳製品
茶(またはベージュ) ホルモン・内臓系

重要: 焼肉店では最低でも「生肉用(赤)」「ホルモン用(茶)」「副菜・ナムル用(緑)」の3色分けを徹底すること。


6.4 保管温度と衛生基準

食品 保管温度 理由
生牛肉(冷蔵) 1〜4°C この温度帯でほとんどの病原菌の増殖は抑制される
ホルモン類 0〜3°C(より低め) 変質が早く、より厳格な温度管理が必要
解凍後の肉 24時間以内に使用 解凍開始後に細菌増殖が始まる
カット済み肉 0〜2°C、2時間以内に提供 断面露出で酸化・細菌増殖リスク増大