Chapter 1: 日本食肉格付協会(JMGA)の評価システム {#chapter-1}

1.1 JMGAとは

公益社団法人 日本食肉格付協会(Japan Meat Grading Association)は1975年に設立された格付け専門機関であり、全国の食肉センター・と畜場で格付員が枝肉を評価する。年間格付け頭数は牛約130万頭に及ぶ。

格付けは枝肉格付け(carcass grading)として行われ、第6〜7肋骨間(リブアイロール断面)を評価基準断面とする。

1.2 格付けの2軸構造

和牛格付けは「歩留まり等級(Yield Grade)」「肉質等級(Quality Grade)」の2軸で構成される。

格付け記号の例: A5 = 歩留まりA + 肉質5

        肉質等級
        1   2   3   4   5
歩留まり A | A1 | A2 | A3 | A4 | A5 |  ← 最高グレード
        B | B1 | B2 | B3 | B4 | B5 |
        C | C1 | C2 | C3 | C4 | C5 |

最高グレード A5 の意味: 歩留まりAかつ肉質5 → 市場で最も高値がつく格付け

1.3 歩留まり等級(Yield Grade)A / B / C

歩留まり等級は枝肉から得られる正肉(可食部)の割合を示す。

計算式(歩留まり基準値):

歩留まり基準値 = 67.37 + 0.130×リブロース芯面積(cm²) + 0.667×サーロイン厚(cm) 
                - 0.025×冷枝肉重量(kg) - 0.896×皮下脂肪厚(cm)
等級 歩留まり基準値 意味 商業的意義
A 72%以上 正肉率が高い 歩留まりが良い → 仕入れコスト効率が高い
B 69%以上72%未満 標準的 標準
C 69%未満 正肉率がやや低い 脂肪・骨の割合が高い

注意: 歩留まり等級が低い(C)からといって肉質が悪いわけではない。骨格が大きく、脂肪が厚い個体でもC5(最高肉質)は存在する。

1.4 肉質等級(Quality Grade)1〜5

肉質等級は以下の4項目を評価し、最も低い項目の数字が肉質等級となる(最弱点方式)。

評価項目 略称 スコア範囲 内容
脂肪交雑(霜降り度) BMS 1-12 筋肉内脂肪の量・分布
肉の色沢 BCS 1-7 肉色・光沢
肉の締まりと肌目 ROT/FRET 1-7 繊維の細かさ・緻密さ
脂肪の色沢と質 BFS 1-7 脂肪の色・硬さ・光沢

BMSと肉質等級の対応:

BMS 肉質等級
1 1
2-3 2
4-5 3
6-7 4
8-12 5

※ ただし他の3項目(BCS/ROT/BFS)が1や2になると、BMSが高くても肉質等級は下がる。