第2章:タン完全ガイド

2.1 タンの部位区分と特性の復習

部位 タンもと(Root) タン中(Middle) タン先(Tip)
位置 舌の付け根 舌の中央部 舌の先端
筋繊維密度 疎(太い束) 中程度 密(細かい束)
脂含量 多い 中程度 少ない
コラーゲン量 多い 中程度 多い(先端部)
推奨用途 厚切り焼肉 薄切り〜厚切り 薄切り・煮込み

2.2 タンもとの完全焼き手順

目標: 外はカリッと香ばしく、内部はジューシーで弾力のある食感

切り厚: 8〜12mm(厚切り)

目標内部温度: 68〜72°C(中心部)

焼き手順

Step 1 — 火力確認(炭の状態)
備長炭なら表面に白灰が見え始めた状態(850〜900°C)が理想。この強火が必要な理由:タンもとの厚みと脂含量を考えると、高火力で短時間に表面をシールしてから内部を仕上げる「高温短時間焼き」が最適。

Step 2 — 接触と初期加熱(片面・1分30秒〜2分)
- 網の中央〜やや高温側に置く
- 置いた直後に「ジュー」という力強い音が聞こえれば適正火力
- 動かさない。接触面のメイラード反応(表面褐変)を邪魔しない
- 判断:端の色が1〜2mm程度グレーに変わり始めたら返しのタイミング近い

Step 3 — 返し(タイミングの見極め)
「返しのサイン三条件」:
1. 端が1/3程度グレーに変わっている
2. 表面に肉汁(白濁した液体)がにじみ出てきた
3. 肉の縁が収縮して形が整ってきた

Step 4 — 第2面加熱(1分〜1分30秒)
第2面は第1面より短時間。第1面の余熱が中心部に伝わっているため、加熱が速い。

Step 5 — 仕上げと確認
- 箸で軽く押して適度な弾力を確認(押して少し沈み込む感触)
- 断面が見える端部分がうっすらピンクなら理想的なミディアム

段階 内部温度 状態 評価
〜40°C 赤い、弾力強い 生食リスクあり
レア 50〜55°C 赤〜ピンク、柔らかい タンは推奨しない
ミディアム 60〜68°C ピンク色中心、弾力適度 ◯ 好みで
ミディアムウェル 68〜72°C わずかにピンク、ジューシー ◎ 推奨
ウェルダン 72〜80°C 全体グレー △ 普通
過加熱 80°C以上 硬い、パサつく × 取り出し遅れ

2.3 タン中(標準切り)の焼き手順

切り厚5〜7mm、やや薄いため火の通りが速い。

目標焼き時間: 片面45秒〜1分 × 両面

特記事項:
- タン中は薄いため「一瞬の判断」が必要。取り出しが1秒遅れると過加熱になりやすい
- 表面に塩(岩塩)がついている場合、塩がジリジリと乾燥してきたら返しのサイン
- 両面焼いた後に縁をすっと立てて(竪焼き)10〜15秒で全体を温める技法も有効