Chapter 3: 交差汚染防止 {#chapter-3}

3.1 交差汚染のメカニズム

交差汚染(Cross-Contamination)とは、汚染された食品や器具から他の食品へ微生物が移行することである。食中毒の最大の原因の一つ。

焼肉店での主な交差汚染ルート:

生肉(汚染源)
    ↓ 直接接触
調理器具(まな板・包丁・トング)
    ↓ 洗浄不十分
野菜・焼いた肉・ドリンク ← 二次汚染!

従業員の手
    ↓ 生肉取り扱い後、手洗い不足
別の食品・食器・ドアノブ・キャッシュトレイ ← 環境汚染!

3.2 カラーコーディングシステム

調理器具の色分けにより、交差汚染のリスクを「見える化」して管理する。

用途
生の牛肉・ラム まな板、包丁、トング
生の鶏肉・豚肉 まな板、包丁
魚介類 まな板、包丁
野菜・果物 まな板、包丁
デイリー(乳製品) まな板
焼き上がり肉(提供用) トング、取り皿用具

3.3 正しい手洗い手順(7ステップ)

食品衛生法の手洗い指導基準(WHO手洗い法準拠):

ステップ1: 流水で手を濡らす(15°C以上の温水推奨)
ステップ2: 適量の石鹸・ハンドソープを取り(0.3-0.5mL)
ステップ3: 手のひらをこすり合わせて泡立てる(10秒以上)
ステップ4: 手の甲を洗う(左右各5秒)
ステップ5: 指の間を洗う(指を組んで前後に動かす、10秒)
ステップ6: 爪の間を洗う(もう一方の手のひらで爪を立ててこする)
ステップ7: 親指・手首を洗う
すすぎ: 流水で15秒以上
乾燥: ペーパータオルで1回拭き(共用タオル禁止)
消毒: 必要に応じて70%アルコールまたはウィルス不活化能のある消毒剤

手洗いが必要なタイミング(焼肉店):
- 生肉・ホルモンに触れた後(最重要)
- トイレ使用後
- 廃棄物・清掃用具に触れた後
- 現金・スマホに触れた後
- 食事・喫煙後
- くしゃみ・咳・鼻かみ後

3.4 まな板管理と生肉・焼き肉の分離

管理項目 基準 根拠
まな板の区分 生肉専用・調理済み用を明確分離 交差汚染防止
洗浄方法 食器用洗剤で洗浄後、次亜塩素酸Na 200ppmで5分消毒 O157は200ppm次亜塩で99.9%以上死滅
乾燥 逆さ置きまたは乾燥棚で十分乾燥 湿潤状態は菌増殖の温床
交換目安 傷が深くなったら交換 傷の中に菌が残存し洗浄困難
保管場所 生肉まな板は冷蔵エリア近く 使用動線の交差防止

「生肉皿」と「焼き肉皿」の分離(お客様への説明):
生肉を乗せた皿・トングを使って焼いた肉を取ることが交差汚染の原因になる。テーブルサービス時には「こちらが生肉用トング、こちらが焼き肉用トングです」と明確に説明し、混同しないよう管理する。