Chapter 2: 各部位の完全解説 {#chapter-2}

2.1 消化管系ホルモン

牛の消化管は4つの胃(第1〜4胃)と腸から構成される。


テッチャン(大腸)

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解剖学的部位 大腸(結腸・直腸を含む)
別名 しろ、マルチョウ(関東)、テッチャン(関西・標準)
組織構造 粘膜層→粘膜下層→筋層(輪状筋+縦走筋)→漿膜の4層
脂肪付着 腸間膜脂肪が外側に付着。これが旨味の源
食感 コリコリとした外側(筋層)+トロトロの内側(粘膜・脂肪)
焼き方 中火〜強火、内側(白い面)から焼いて脂を出す
特徴的な旨味 アラキドン酸・コラーゲン由来のゼラチン質のコク

シマチョウ(縞模様大腸)

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解剖学的部位 大腸の中でも横行結腸〜下行結腸部分
名前の由来 縦走筋帯(タエニア)が3本走り、外側に「縞模様」に見えるため
テッチャンとの違い シマチョウの方が筋層が発達しており歯ごたえが強く、脂肪量が多い
食感 テッチャンより弾力が強く、脂肪の甘みが豊富
希少性 一頭から取れる量が少ない(300-500g程度)
最適調理法 やや厚めに切り、じっくり中温で焼いて脂を十分に溶かす

コテッチャン(小腸)

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解剖学的部位 小腸(空腸〜回腸が主)
別名 ヒモ、サルシチョウ(細腸)
組織構造 絨毛が発達した粘膜層が特徴(腸管表面積の拡大構造)
脂肪 テッチャン・シマチョウより脂肪が少ない(内腸間膜脂肪の差)
食感 やや柔らかく、コリコリ感はテッチャンより弱い
独特の風味 消化管由来の独特の香り(下処理の質が最も反映される)

ミノ(第1胃)

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解剖学的部位 瘤胃(ルーメン):牛の4胃の中で最大(容積100-150L)
名前の由来 蓑(みの)に似た表面の粒状突起(乳頭)から
組織構造 重層扁平上皮で覆われた厚い筋肉壁。乳頭(突起)が密生
コラーゲン含量 非常に多い(筋層の結合組織が発達)
食感 強いコリコリ感。良く噛むほど旨味が広がる
部位の細分化 ミノサンド(2枚のミノで脂肪をはさんだ状態の部位)が高級
焼き方 強火で短時間。加熱しすぎるとゴムのように硬くなる

ハチノス(第2胃)

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解剖学的部位 蜂巣胃(ハニカム胃):ルーメンの前段
名前の由来 内壁が蜂の巣(ハニカム)状のマス目構造をなしているため
機能 粗飼料の再咀嚼(反芻)の入口。マグネット胃とも呼ばれる
食感 ミノより柔らかく、蜂巣状の形状が食感の複雑さを生む
コラーゲン含量 ミノと同程度(加熱でゼラチン化)
代表的料理 イタリア料理「トリッパ(Trippa)」の主要食材
焼き方 中火でじっくり。煮込みにも非常に向く

センマイ(第3胃)

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解剖学的部位 弁胃(重弁胃):第3胃
名前の由来 内壁が無数の「葉状ひだ(100枚以上のひだ)」が並ぶため「千枚」
機能 食物の水分を吸収し、第4胃(真の胃)へ搬送
食感 4胃の中で最もサクサクとした独特の食感(コリコリとは異なる)
希少性 1頭から1-2kgしか取れない
下処理 ひだに砂・未消化物が詰まりやすいため、ブラシで丁寧に洗浄が必要
焼き方 薄いため高温・短時間。塩・ごま油・唐辛子ソースと合わせる

ギアラ(第4胃)

項目 詳細
解剖学的部位 皺胃(すじょう):真の胃(哺乳類の本来の胃に相当)
別名 赤センマイ(色が赤いため)、アカセン
機能 消化液(ペプシン・塩酸)を分泌する唯一の「本物の胃」
粘膜 胃液分泌腺(主細胞・壁細胞)が発達した腺上皮
食感 センマイよりも柔らかく、独特の粘り気と脂肪の甘み
脂肪 粘膜下に脂肪が多い。加熱時に脂が滴る
焼き方 中火、やや内側(粘膜側)から焼き始め、こんがり焼く

2.2 主要臓器系ホルモン

ハツ(心臓)

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解剖学的部位 心臓(心筋・心外膜含む)
組織 横紋筋だが収縮速度が骨格筋と異なる心筋(自律性収縮)
特徴 骨格筋と同様の横紋構造を持つが、ミトコンドリアが極めて豊富
食感 柔らかすぎず硬すぎない、引き締まったコリコリ感
風味 赤身肉に近い旨味。鉄分が豊富で独特の金属様の香り
ハツモト ハツに繋がる大動脈・大静脈の付け根。コリコリ食感の希少部位
焼き方 薄切りにして強火で短時間。または厚切りでミディアムレア
注意 心臓には大血管が付着しているため、血液を完全に除去する

レバー(肝臓)

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解剖学的部位 肝臓(右葉・左葉・尾状葉の複合臓器)
重量 牛1頭から約5-7kg取れる
組織構造 肝細胞(ヘパトサイト)が肝小葉を形成。類洞を介して血液と直接接触
栄養素 ビタミンA(3,000μgRE/100g)・B12・鉄分が突出して高い
風味 特有の「レバー臭」=血液(ヘム鉄)・鉄分・脂溶性臭気物質由来
部位細分類 レバー白(脂肪交雑部)、レバー赤(通常部)、胆管近辺は苦み
焼き方 必ず中心部まで十分加熱(食品安全上絶対の原則)
食品安全 生食は2012年以降、牛レバーの生食提供は法律で禁止

タン(舌)

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解剖学的部位 舌(骨格筋の一種。外舌筋+内舌筋)
厳密な分類 内臓ではなく骨格筋だが、流通・飲食業界ではホルモンの一種として扱われる
部位の細分 タン先(先端、最も薄く柔らかい)/ タン中(中央部、最高部位)/ タン根(付け根、コリコリ感強い)/ タン下(舌下腺含む部分)
食感 部位によって大きく異なる。タン中は引き締まった弾力と豊かな旨味
脂肪 特にタン中〜タン根にかけて霜降り状の脂肪交雑がある上質品も
焼き方 薄切り(2-3mm)で強火・短時間が基本。塩・レモンが定番

コブクロ(子宮)

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解剖学的部位 雌牛の子宮
別名 子袋(こぶくろ)、コプリ(地域によって異なる)
組織構造 子宮筋層(平滑筋の厚い壁)+子宮内膜
食感 非常に強いコリコリ感。4胃のミノに近い弾力
希少性 経産牛(出産経験あり)のみから取れる(肥育牛からは取れない)
風味 淡白でクセが少ない。牛ホルモン中では最もクセがない部位の一つ
流通 一頭から少量しか取れないため、希少かつ比較的高価
焼き方 中火〜強火で、コリコリ感が引き立つように焼く