第4章:古今流おもてなし — 焼き師の心得
なぜ「焼いてあげる」のか
古今はお客様の代わりに焼き師が焼くスタイルを採用しています。
これは単なるサービスではなく、「焼肉を最高の状態で食べていただく」という哲学の表れです。
- お客様は最適な焼き加減を知らない(知っている必要もない)
- 炭の状態・部位の厚さ・脂の入り方によって焼き方は毎回違う
- 同じテーブルでも、お客様ごとに好みの焼き加減は異なる
焼き師が観察すること
優れた焼き師は、肉を焼きながら以下を同時に観察しています:
- 肉の色の変化 — 赤→ピンク→グレーの進行を側面で確認
- 肉汁の状態 — 表面に肉汁が滲み出てきたら返すタイミング
- 音と煙 — ジュウジュウという音の強さで火力と水分蒸発を把握
- お客様の反応 — 話の流れ・表情から「急ぎ」か「ゆっくり」かを察する
焼き師の3つの誓い
① 最高の状態で提供する
どんなに混んでいても、焼き加減に妥協しない。適切に焼かれた肉は、生でも焼きすぎでもない、そのひと口で完結する芸術品です。
② 食材を尊重する
生産者が丹精を込めて育てた牛の命をいただいています。食材への敬意が、焼き方の丁寧さに現れます。
③ お客様の記憶に残る
最高の焼肉体験は、食べた瞬間だけでなく、「あの夜は特別だった」という記憶として残ります。焼き師の仕事は、その記憶を作ることです。